猫はなわばり意識の強い動物で、見知らぬ猫が家に現れるのは、猫にとって最もストレスの大きいできごとのひとつです。初日に2匹を一緒にすると、シャーッと威嚇したり、追いかけ回したり、隠れたりすることがよくあり、最初の対面でつまずくと、何か月もお互いを警戒し続けることもあります。イギリスの猫の保護団体Cats Protectionは、慣らしを急ぐと長く続く対立につながりかねないと警告しています。

うれしいことに、ゆっくり慣らせば、たいていの猫はうまくいきます。まずお互いのにおいに、次にお互いの姿に慣れさせ、それから初めて同じ部屋で過ごさせるのが基本です。次の段階に進むのは、2匹ともリラックスしているときだけにします。手順は次のとおりです。

  1. 新入り猫に専用の部屋を用意する:必要なものをすべてそろえ、少なくとも数日はそこで過ごさせます。
  2. においを交換する:寝具や布を使い、2匹とも相手のにおいを気にしなくなるまで続けます。
  3. 閉じたドアをはさんで、両側でごはんをあげたり遊んだりする。
  4. お互いの姿を見せる:背の高いゲート越しや少しだけ開けたドアのすき間から、一度に数分ずつ見せます。
  5. 見守りながら短い対面をさせる:同じ部屋で、猫じゃらしとおやつを使います。
  6. 一緒にいる時間を少しずつ延ばす:2匹だけにするのは、毎回の対面が落ち着いて終わるようになってからです。

新しい猫を迎える前に

新入り猫を獣医師に診てもらう。 コーネル大学猫健康センター(Cornell Feline Health Center)は、獣医師の診察を受けるまで新しい猫をほかの猫から離しておき、猫白血病ウイルス(FeLV)と猫エイズ(FIV)の検査を受けさせるよう勧めています。どの猫もワクチン接種と寄生虫の駆除・予防を最新の状態にし、2匹とも不妊・去勢手術を済ませておきましょう。Cats Protectionは、慣らす前に手術を済ませておくことを勧めています。

どんな猫同士を慣らすのかを考える。 年齢や活発さが近い猫同士が、たいていいちばんうまくいきます。若くて遊び盛りの子猫は、静かに暮らす高齢の猫には負担が大きいことがあり、コーネル大学も、新しいペットは高齢の猫にとってつらいことがあると指摘しています。同じ母猫から生まれたきょうだい猫や、すでに一緒に暮らしている成猫のペアは、いちばんなじみやすい組み合わせです。保護団体や猫カフェから迎えるなら、その猫がほかの猫とどう過ごしてきたかを聞いてみましょう。

何でも数を十分にそろえる。 Feline Veterinary Medical Association(旧称:米国猫臨床医協会、AAFP)の新しい猫の慣らし方のガイドによると、同じ家で暮らす猫同士の緊張の原因でいちばん多いのは、少なすぎる資源を分け合わなければならないことです。目安は「猫の数+1」。2匹ならトイレは3つ、食事の場所、水飲み場、爪とぎ、高くてくつろげる場所もそれぞれ少なくとも2か所ずつ用意し、1匹がすべてを独り占めできないよう家のあちこちに分けて置きます。おすすめの猫用トイレとおすすめのキャットタワーのガイドも参考にしてください。

ステップ1:新入り猫に専用の部屋を用意する

先住猫があまり使わない部屋、たとえば空いている寝室や書斎を選び、新しい猫の拠点として整えます。トイレ、ごはんと水、ベッド、爪とぎ、おもちゃをいくつか、そして隠れ場所を用意しましょう。新しい猫はキャリーに入れて連れて帰り、キャリーごとその部屋に置いて、自分のタイミングで出てくるのを待ちます。

ドアは閉めておきます。新しい猫は小さく安全な空間で落ち着くことができ、先住猫にとっては、それ以外の家の中がいつもどおりのままです。どちらの猫とも毎日一緒に過ごし、どちらも寂しい思いをしないようにしましょう。

どのくらいかかるのでしょうか。猫の福祉団体International Cat Careによると、新入り猫が落ち着くまでには数日から1〜2週間かかることがあり、Cats Protectionは少なくとも1週間を勧めています。新しい猫がごはんを食べ、トイレを使い、ほとんどの時間を隠れて過ごすのではなく部屋の中を探検するようになったら、次に進みましょう。

ステップ2:においを交換する

猫はお互いを主ににおいで見分けるので、これがいちばん大切なステップです。Cats Protectionは、慣らし全体の中で最も重要な段階だとしています。

  • 寝具を交換する:新しい猫が寝ていた毛布やベッドを先住猫のお気に入りの場所に置き、その逆も行います。
  • 布を使う:きれいな布や靴下で、一方の猫のほおと額、つまりにおいを出す腺のあるところをやさしくなで、もう一方の猫がよくいる場所の床に置いておきます。Cats Protectionは、猫がにおいをかいでから落ち着いて立ち去ったらおやつをあげ、毎日においをつけ直すことを勧めています。
  • 部屋を交換する:2匹ともにおいに落ち着いていられるようになったら、先住猫を別の部屋に入れておき、新しい猫に毎日しばらく家のほかの場所を探検させます。こうすると、それぞれが家じゅうで相手のにおいを確かめられます。

2匹とも、相手のにおいをかいでも気にしなくなるまで続けましょう。どちらかが布に向かってシャーッと言ったり、布を避けたりするなら、もっと時間をかけます。

ステップ3:ドアをはさんで食事と遊びをさせる

次は、相手の存在をよいことと結びつけます。2匹の間のドアは閉めたまま、それぞれの側でドアから1mほど離したところに器を置き、同時にごはんをあげます。その後の数日、2匹とも落ち着いて食べ続けているかぎり、器を少しずつドアに近づけていきます。アメリカの動物保護団体Best Friends Animal Societyは、器を少しずつ近づけ、どちらかが食べなくなったら距離を戻すよう勧めています。

遊びも効果的です。Feline Veterinary Medical Associationは、ドアの両側でそれぞれおもちゃを使って短く遊ぶことを勧めています。猫たちは相手が楽しんでいる音を聞き、ドアの下から手を伸ばして同じおもちゃをたたこうとすることさえあります。

ステップ4:お互いの姿を見せる

慣らしにベストなゲート

COMOMY 71" Extra Tall Pet Gate

突っ張り式の金属製ゲート。高さは1.4mで、3枚の拡張パネルを付けると1.8mになり、幅75〜103cmの出入り口に対応します。人が通れる扉と、閉じてロックできる小さなペット用扉付きです。

Amazonで購入

2匹ともドアの前で落ち着いていられるようになったら、いよいよ初めて顔を合わせます。この時間は短くしましょう。Cats Protectionは、最初はほんの5〜10分にして、おやつや遊びを組み合わせ、少しずつ延ばしていくよう勧めています。

いちばん簡単なのは、ドアを数cmだけ開け、どちらの猫も押し広げられないようにドアストッパーで固定する方法です。出入り口にゲートを付けるほうがもっとよく、飼い主が状況をコントロールしたまま、猫たちはお互いの姿をしっかり見られます。たいていの成猫はふつうのベビーゲートなら跳び越えてしまうので、背の高いものを選びましょう。COMOMY Extra Tall Pet Gateは高さ1.4mで、3枚の拡張パネルを付けると1.8mになり、ほとんどの猫が越えられない高さです。突っ張り式なので穴あけは不要で、幅75〜103cmの出入り口に取り付けられます。人はゲートの扉から出入りでき、扉は持ち上げてから引くと開くロック付きです。慣らしのあいだは小さなペット用扉をロックしておき、ごく小さな子猫を慣らす場合は、3.5cm間隔の柵のすき間をすり抜けられないか確かめてください。

動物保護団体Humane World for Animalsは、ゲートにシーツを掛け、それぞれの猫におやつを投げてあげるあいだだけ少し持ち上げて、また下ろすことを1日に数回くり返すよう勧めています。だんだんと、上げておく時間を長くしていきます。目標は、2匹とも相手の姿を見ながら、そのまま食べたり遊んだりし続けられるようになることです。

ステップ5:見守りながら短い対面をさせる

初対面にベストなおもちゃ

GoCat Da Bird Wand Toy

長さ91cmの分割式ロッドの先に、回転金具で羽根のルアーが付いた猫じゃらし。羽根がくるくる回ってはばたき、空を飛ぶ鳥のように動きます。アメリカでの手作りで、替えの羽根は別売りです。

Amazonで購入

2匹ともゲート越しにリラックスしていられるようになったら、数分間同じ部屋で過ごさせます。広い部屋を選んでゲートかドアを開け、自分たちのペースで近づかせましょう。一方の猫を抱いて、もう一方のところへ連れていくのはやめましょう。

最初の対面を落ち着いたものにするには、遊びがいちばんです。猫じゃらしなら、それぞれの猫を離れた場所で夢中にさせておけます。理想は、2人がそれぞれ1匹ずつ、部屋の反対側の端で遊ぶことです。Da Birdはシンプルな定番で、長さ91cmのロッドの先で羽根が回転金具でくるくる回るので、本物の鳥のようにはばたき、怖がりな猫でも相手の猫ではなくおもちゃに注意を向けていられます。落ち着いて過ごせたら2匹ともにおやつを投げてあげ、飼い主自身の声や動きもゆったりさせましょう。

対面は、うまくいっているうちに、どちらかがシャーッと言う前に終わらせます。それから少しずつ時間を延ばしていきましょう。

ステップ6:一緒にいる時間を延ばす

対面がいつも落ち着いて終わるようになるまでは、必ず見守りましょう。Humane World for Animalsは、リラックスした対面を数日、あるいは数週間続けてから初めて、猫たちを目の届かないところで一緒にさせるよう勧めています。それまでは、外出するときや寝るときには2匹を別々にしておきます。新しい猫の部屋はいつでも戻れる避難場所として残し、資源はどれも複数の場所に置いておきましょう。

どのくらいかかるのか

たいていの人が思うより長くかかります。1〜2週間でお互いを受け入れる猫もいますが、Feline Veterinary Medical Associationによると、慣らしには数日から数か月かかり、それ以上かかることもあります。ペースを決めるのはカレンダーではなく猫たちです。緊張が高まって一段階戻ることになっても、それは失敗ではなく、慣らしの過程の一部です。

うまくいっているサインと、ペースを落とすべきサイン

よいサイン

  • 2匹ともふつうに食べ、遊び、トイレを使っている。
  • お互いを無視するか、落ち着いて見ている。
  • 鼻と鼻をくっつける、ゲートの下から手を伸ばして遊ぶ、相手の近くで物に体をこすりつける。
  • やがて、近くで眠る、毛づくろいし合う、体をこすりつけ合う。

一段階戻るべきサイン

  • シャーッという威嚇やうなり声が何度も続く。最初のうちは、ときどきシャーッと言うのはふつうです。
  • しっぽを大きく振る、ぴくぴく動かす、耳を伏せる、毛を逆立てる、瞳孔が開く、じっとにらむ。
  • 1匹がずっと隠れている、または相手がごはんやトイレ、出入り口に近づくのをじゃまする。
  • 食べない、トイレ以外の場所でおしっこやスプレーをする、うろうろ歩き回る。

どちらかの猫が食べなくなったり、数日以上ストレスが続いたりしたら、獣医師に相談しましょう。

子猫を成猫に慣らすとき

成猫は、ほかの成猫よりも子猫のほうをすんなり受け入れることがよくあります。子猫はそれほど脅威にならないからです。手順は同じですが、子猫の元気さは年上の猫には負担になることがあります。Cats Protectionは、対面の前に子猫を遊ばせて疲れさせておくことと、成猫が子猫の追ってこられない高い場所に逃げられるようにしておくことを勧めています。それには窓辺のハンモックや背の高いキャットタワーが役立ちます。

先住猫が高齢だったり病気だったりするなら、子猫を迎えるかどうか慎重に考えましょう。コーネル大学猫健康センターは、新しいペットは高齢の猫にとってストレスになりうると指摘しています。

けんかになったら

慣らしではたいてい多少のシャーッはありますが、猫たちがけんかを始めたときは、次のようにしましょう。

  • 決して手で引き離さない:ひどく引っかかれたり、かまれたりする可能性がとても高いです。
  • 離れたところから気をそらす:大きく手をたたいたり、音の出るものを落としたりします。
  • 2匹の間に物を入れる:クッションや厚手のタオル、段ボールなどを使います。
  • 離れたら別々にする:別々の部屋で落ち着かせます。

それから、においの交換やゲートなど前の段階に戻り、もっとゆっくり進めます。けんかが続くなら、まず獣医師に診てもらって痛みや病気がないか確かめ、そのうえで資格のある猫の行動の専門家について相談しましょう。

フェロモンディフューザーは効くのか

試す価値はあるが、ゆっくり慣らす代わりにはならない

FELIWAY MultiCat Diffuser Kit

コンセントに差し込むディフューザーと30日分の詰め替え用リキッドのセット。授乳中の母猫が出すフェロモンを人工的に再現したもので、Feliway Friendsという名前でも売られています。

Amazonで購入

FELIWAY MultiCatのようなコンセント式のディフューザーは、授乳中の母猫が出すフェロモンを人工的に再現したものを放出し、猫同士の緊張をやわらげる目的で販売されています。ただし、効果を示す根拠は弱いものです。

  • ペット用フェロモン製品についての2010年の系統的レビューでは、調べた研究のほとんどで、効果を示す十分な根拠は見つかりませんでした。
  • 猫同士のけんかに対するこのフェロモンの主な試験である、45世帯を対象にした2019年の予備研究では、本物のディフューザーを使った家庭でも、プラセボを使った家庭でも攻撃行動が減りました。両者の差は小さく、統計的に有意になったのは、6週間後の最後の確認のときだけでした。この研究はメーカーの資金で行われました。
  • 猫のフェロモン研究についての2022年のレビューは、結果に一貫性がなく、根拠はよくても弱いとしています。

2024年の猫同士の緊張に関する猫の獣医療ガイドラインは、今もフェロモンを役立つかもしれない選択肢として挙げていますが、その効果はわずかで、ほかの要因に簡単に打ち消されるとも記しています。私たちの考えでは、ディフューザーは安全で害はないので、試したいなら、猫たちが対面する部屋に1〜2日前から差しておきましょう。ただし、急いだ分を補ってはくれません。部屋を分けること、においの交換、短い対面のほうがはるかに大切です。

一緒に暮らしている猫を慣らし直す

仲良く暮らしてきた猫同士でも、1匹が動物病院から帰ってきたり、しばらく家を離れていたりすると、もう1匹にとって知らないにおいがするため、仲が悪くなることがあります。International Cat Careは、2匹を数時間から1〜2日離しておき、キャリーの敷物を洗い、帰ってきた猫には2匹とも使ったことのある寝具を与えて、家のにおいを再びまとわせるよう勧めています。最初の対面は見守りましょう。それでもうまくいかなければ、慣らしを最初からひととおりやり直します。落ち着くようなら、もっと早く進めてかまいません。

先住猫と新入り猫の慣らし方のまとめ

新しい猫は専用の部屋から始め、2匹とも相手のにおいを気にしなくなるまで、寝具やにおいをつけた布を交換します。ドアをはさんで食事と遊びをさせ、それから背の高いゲート越しに、一度に数分ずつお互いの姿を見せます。おもちゃとおやつを使った見守りつきの短い対面に進み、毎回よい雰囲気のうちに終わらせ、問題の兆しが見えたらすぐに一段階戻りましょう。何でも「猫の数+1」そろえ、数週間、ときには数か月かかるつもりでいてください。まだ新しい猫を迎える準備中なら、猫を迎える前にそろえたいもののチェックリストと、連れて帰るときのためのおすすめの猫用キャリーのガイドもご覧ください。