たいていの猫は足先を触られるのを嫌がります。最初の爪切りが取っ組み合いになってしまい、それきり先延ばしにしている飼い主も少なくありません。でも、そうなるとは限りません。猫が慣れてしまえば、猫の爪切りは1分で終わります。そこまでの道のりも、ほとんどはゆっくり進めるだけです。一度に1〜2本ずつ、1本ごとにおやつをあげ、とがった先端より深くは決して切らないことです。
要点をまとめると次のとおりです。
- 2〜4週間ごとに切る:室内飼いの猫なら目安はこのくらいです。床で爪がカチカチ鳴ったり、布に引っかかったりしたときも切りどきです。
- 猫用の爪切りを使う:Pet Republiqueのような小さなハサミタイプが、たいていの猫に向いています。
- 切るのは透明でとがった先端だけ:ピンク色の血管の部分からは十分に離します。
- ゆっくり進める:まず足先を触られることに慣れさせ、嫌がり始めたら1〜2本でやめましょう。
- 止血パウダーを手元に置く:切りすぎたときのためです。
猫の爪切りの頻度
猫によって違うので、決まったスケジュールはありません。アメリカの獣医師や保護施設は、定期的な爪切りを勧めることがほとんどです。動物保護団体のHumane World for Animalsは2〜3週間ごと、Fear Free(動物が怖がらない診療を広める団体)のガイドは10日〜2週間ごと、動物病院チェーンのVCA Animal Hospitalsは室内飼いの猫なら2〜4週間ごとを勧めています。
イギリスの猫の団体は、もっとゆるやかな考え方です。猫の福祉団体International Cat Careは、猫は登ったり遊んだり身を守ったりするのにとがった爪が必要で、ほとんどの猫は爪とぎで爪の状態を保っていると指摘し、自分で手入れできている猫には定期的な爪切りを勧めていません。どちらの考え方でも、手助けがいちばん必要な猫は同じです。
- 室内飼いの猫:外に出る猫ほど爪をといだり登ったりしません。
- 高齢の猫:爪とぎが減るので、爪が太く長く伸びます。
- 子猫:爪が針のように鋭く、伸びるのも速いうえ、爪切りに慣れさせるのがいちばん簡単な時期です。
- 多指症の猫:余分な指の爪が、爪とぎにまったく当たらないことがあります。
外に出る猫はたいてい自然に爪がすり減り、登るのに爪が必要なので、伸びすぎたときだけ切りましょう。どんな猫でも、2週間に一度くらいは爪をチェックしてください。硬い床で爪がカチカチ鳴る、カーペットや寝具、服に引っかかる、リラックスしているときにも爪が出ているのが見える、といった場合は伸びすぎです。
用意するもの
- 猫用の爪切り:刃にそれぞれ小さなくぼみがあるハサミタイプが、猫の細くカーブした爪でいちばん扱いやすいです。ギロチンタイプやニッパータイプも使えますが、どちらかといえば犬向けに作られています。イギリスの猫の保護団体Cats Protectionは、爪が割れることがあるので人間用の爪切りは使わないよう勧めています。切れ味が落ちたら買い替えましょう。なまくらな刃は爪を切らずにつぶしてしまいます。
- 猫の大好きなおやつ:できれば、爪切りのときにしかもらえない、やわらかくてにおいの強いものがいいでしょう。ASPCA(米国動物虐待防止協会)は、ツナ、サーモン、鶏レバー、チーズを挙げています。
- 止血パウダー:またはコーンスターチや小麦粉。血管を傷つけたときの止血に使います。
- タオル:猫がじたばたする場合に。
- 明るい照明:血管が見えるようにするためです。
血管の位置を確かめる
猫の爪には、血管と神経が通ったピンク色の芯があります。ここを切ると痛みと出血があり、一度切られた猫は次のときもそれを覚えています。目標は、その先にあるとがったかぎ状の先端だけを切ることです。
猫の爪はたいてい透明か白なので、血管は爪の中のピンク色の三角形としてよく見えます。足先を明かりにかざせば、どこで終わっているかがわかります。黒い爪では血管が見えないので、爪が下向きにカーブしてかぎ状になり始めるところの、ごく先端だけを切りましょう。
どのくらい切ればいいのでしょうか。Fear Freeのガイドは先端から約1.5mmを目安にしていて、ASPCAは爪切りの刃を血管と先端のほぼ中間に当て、最初はとがった先だけを切るよう勧めています。迷ったら少なめに切りましょう。次のときにいつでも少し足せます。
猫の爪切りの手順
- 落ち着いているときを選ぶ。 遊びたがっている猫より、食後で眠そうな猫のほうがずっと楽です。楽な姿勢で座り、猫を自分と同じ向きにしてひざに乗せるか、目の前のテーブルや床に乗せます。
- 足先を持つ。 前足を片方、そっと手に取ります。猫が足を引っこめたら放してあげて、おやつをあげ、あとでもう一度試しましょう。
- 爪を出す。 肉球を下から軽く押し、親指は指の上、爪のすぐ後ろに当てます。爪がすっと出てきます。
- 血管を探す。 ピンク色の部分を見つけ、そこから十分に離れたところに爪切りの刃を合わせます。
- 先端を切る。 刃が爪を上下からはさむ向きで爪切りを持ち、左右からはさまないようにします。左右から切ると爪が裂けることがあります。VCAのアドバイスは、自信がなければ一度に大きく切るより、少しずつ数回に分けて切ることです。
- ごほうびをあげる。 慣れるまでは1本ごとに、慣れたら足1本ごとにおやつをあげましょう。
- うまくいっているうちにやめる。 18本の爪を一度に全部切る必要はありません。しっぽをパタパタ振る、耳を伏せる、足を引っこめるといった様子が見えたら、その日はやめて、残りは別の日に切りましょう。
後ろ足の爪は前足より伸びるのが遅く、たいていそれほど鋭くありません。しかも、ほとんどの猫は後ろ足のほうをもっと嫌がります。前足から始めて、猫がもううんざりしているようなら、後ろ足は別の日にしましょう。
猫が爪を切らせてくれないとき
爪切りのたびに抵抗する猫には、たいてい爪切りを見せる前に、足先を触られるのはたいしたことではないと覚えてもらう必要があります。ASPCAは、これに少なくとも1か月かけるよう勧めています。
- 触ることから始める:猫がくつろいでいるときに足先に1秒触れ、おやつをあげます。数日かけて、足先を3秒持つところまで、さらに指を押して爪を出すところまで進めます。1回につき数回くり返せば十分です。
- 爪切りに慣れさせる:猫のお気に入りの場所の近くに爪切りを出しておきます。それから足先の近くで爪切りを持ち、握ってパチンという音を聞かせて、ごほうびをあげます。
- 1日1本ずつ切る:Fear Freeのガイドは、最初の数週間は1日に1本ずつ切ることを勧めています。爪は短いまま保てるうえ、毎回、猫が怒り出す前に終わります。
必要ならタオルを使う。 International Cat Careは、じたばたする猫をタオルでぴったりくるみ、足を1本だけ出す方法を勧めていて、これで落ち着く猫も多くいます。爪を切るあいだ、もう1人が猫を支えてなでてくれると、ずっと楽になります。
プロに任せるときを見極める。 猫がおびえる、手を出してくる、数週間たってもまったく進歩がない、という場合は、かかりつけの獣医師か猫のトリマーに相談しましょう。多くの動物病院は少額で爪切りをしてくれて、やり方も教えてくれます。ひどく不安がる猫には、獣医師が爪切りの前に落ち着かせる薬を処方することもできます。
血管を切ってしまったら
遅かれ早かれ、ほとんど誰にでも起こることです。爪から血が出て、猫はたぶん足を引っこめます。落ち着いて対処しましょう。
- 爪の先に止血パウダーを押し当てる:手元にない場合、Humane World for Animalsは、コーンスターチを使うか、乾いた固形石けんに爪をこすりつける方法を挙げています。
- 先端を1分ほどやさしく押さえる:血が止まるまで押さえます。
- ほかの爪は別の日にする:猫におやつをあげて、そっとしておきましょう。
傷つけた血管からの出血は、たいてい数分で止まります。血が止まらないときや、あとで指が腫れたり痛がったりしているときは、獣医師に連絡しましょう。
狼爪、高齢の猫、伸びすぎた爪
狼爪(ろうそう)は、前足の内側、足先から少し上にある「親指」の爪です。地面にも爪とぎにも当たらないので、すり減りません。いちばん伸びすぎやすい爪なので、爪切りのたびに確認しましょう。
高齢の猫はあまり爪をとがなくなることが多く、International Cat Careによると、爪が太く伸びすぎて肉球に食い込むことさえあり、これは痛く、感染することもあります。高齢の猫の爪は1〜2週間ごとにチェックしましょう。体のかたくなった高齢の猫には、背の高いポールより平置きの爪とぎのほうが使いやすいことがあるので、あると役に立ちます。
爪が肉球に巻き込んでいる場合や、指が腫れている、赤い、出血しているといった場合は、家で何とかしようとしないでください。動物病院に連れていけば、爪を切って肉球を安全に手当てしてもらえます。
おすすめの猫用爪切り
猫用の小さな爪切りを、刃の質、切りながら爪がどれだけ見やすいか、手に持ったときの感じ、何か月も使った飼い主の評価で比べました。次の3つで、たいていの猫と飼い主に対応できます。
総合ベスト
Pet Republique Cat Nail Clipper
爪を受け止めるカーブしたくぼみのあるステンレスの刃と、やわらかく大きな指穴を備えた小さなハサミタイプの爪切り。Amazonで特に売れている猫用爪切りのひとつで、評価は3万件以上です。
Amazonで購入初めて猫を飼う人に渡すなら、Pet Republique Cat Nail Clipperです。長さ約12cmの小さなハサミタイプで、ステンレスの刃にはそれぞれカーブしたくぼみがあり、切るあいだ猫の爪をしっかり受け止めます。指穴は大きく、滑りにくいゴムで覆われているので、手の大きな人でも快適に安定して使えます。刃が短いので爪がよく見え、握る前に血管の位置を確かめられます。
値段は手ごろで、メーカーによると厚いステンレスの刃は何年も切れ味が続きます。Amazonでの評価は3万件以上、平均は星4.6です。子猫にも成猫にも向いていますが、太く伸びすぎた爪の大きな猫なら、まずは獣医師かトリマーに相談するほうがいいでしょう。
ワンランク上のベスト
Necoichi Cat Nail Clipper
岐阜県関市製のハサミタイプの爪切り。メーカーによると刃は一般的な猫用爪切りより30%薄く、血管が見やすく、すっきり切れます。色はホワイト、グレー、ライラック、ミント。
Amazonで購入もうワンランク上のものがほしいなら、Necoichi Cat Nail Clipperは刃物の町として有名な岐阜県関市で作られています。日本の猫用品ブランドの猫壱(Necoichi)によると、刃は一般的な猫用爪切りより30%薄くなっています。刃が薄いと視界をさえぎりにくいので、どこを切っているのかがよく見え、鋭く細かく研がれた刃は、爪をつぶしたり裂いたりせずに一度ですっきり切れます。
長さ約9.6cmと、Pet Republiqueより少し小さく、手の小さな人に向いています。値段は高めですが、Amazonでは2,500件以上の評価で星4.8です。
不安な初心者向けのベスト
Zen Clipper Cat Nail Clipper
直径2mmの穴の上に円すい形の刃がある爪切り。爪の先を穴に入れて握ると、穴から出た部分だけが切れるので、切りすぎにくい作りです。
Amazonで購入血管を切るのが怖くて爪切りができないなら、Zen Clipperはまさにそのための作りです。むき出しの刃の代わりに、小さな丸い穴の上に円すい形の刃があります。爪の先を穴に差し込んで握ると、穴から出た部分だけが切れます。穴が2mmのエクストラスモールサイズはたいていの成猫に合い、Zen Clipperはほかのサイズも販売していて、サイズに迷ったときのために無料のサイズ確認カードも用意しています。
そのかわり、一度にほんの少ししか切れないので、すでにふつうの長さの爪の定期的なお手入れに向いていて、長く伸びすぎた爪には向きません。どうせ血管が見えない黒い爪には特に便利です。
あると便利なもの
血管を傷つけたときに
Miracle Care Kwik Stop Styptic Powder
切った爪からの軽い出血を数秒で止める、小さな容器入りの止血パウダー。しみる痛みをやわらげるベンゾカインを含みます。獣医師やトリマーも使っています。
Amazonで購入止血パウダー。 爪切りと一緒にKwik Stopを1つ置いておきましょう。すばやく血を止め、しみる痛みをやわらげるベンゾカインを含み、Amazonでの評価は3万7,000件以上です。湿らせた綿棒で爪の先に少しつけ、数秒押さえます。14gの小さな容器でも、家庭なら何年ももちます。
猫によっては選択肢に
Soft Claws Nail Caps for Cats
やわらかいビニール製のキャップ40個と接着剤2本のセット。キャップは切った爪にかぶせて接着し、数週間後に爪の外側の層と一緒に取れます。Mサイズは体重約4〜6kgの猫向けです。
Amazonで購入ネイルキャップ。 Soft Clawsのようなやわらかいビニール製のキャップは、切った爪にかぶせて接着するもので、猫が家具や肌を引っかけなくなります。爪が伸びるにつれて取れ、ふつうは4〜6週間後に外れます。Feline Veterinary Medical Association(旧称:米国猫臨床医協会、AAFP)は、ネイルキャップを爪の除去手術に代わる人道的な方法のひとつに挙げていますが、付けられるのを嫌がる猫や、外してしまう猫もいると記しています。イギリスの猫の団体はもっと批判的です。Cats Protectionは、キャップを付けた猫は爪を完全に引っこめられず、きちんと爪をとげず、ふつうに毛づくろいもできないとして、使わないよう勧めています。
私たちの考えでは、キャップは、皮膚の弱い人を引っかいてしまう猫など、特定の状況では役に立ちますが、爪切りやしっかりした爪とぎの代わりにはなりません。試すなら、正しいサイズを選び、切ったばかりの爪にかぶせ、最初の数日は猫の様子をよく見てあげてください。
爪とぎの場所を用意する
爪を切れば爪の鋭さは減りますが、猫が爪をとぎたい気持ちは変わりません。爪とぎで爪の古い外側の層がはがれ、体が伸び、においのマーキングもできます。猫が体をいっぱいに伸ばしたときと同じかそれ以上の高さの、しっかりした爪とぎポールを用意し、猫がいつも爪をといでいる場所の隣に置きましょう。コーネル大学猫健康センター(Cornell Feline Health Center)は、猫がポールを使ったらほめてあげるよう勧めています。麻縄を巻いたポールのあるキャットタワーなら同じ役目を果たし、登る場所にもなります。おすすめのキャットタワーのガイドもご覧ください。
爪の除去手術(抜爪)は考えないでください。爪のお手入れとはまったく違い、それぞれの指の最後の骨を切断する手術です。Feline Veterinary Medical Associationは必要のない抜爪に強く反対していて、イギリスやヨーロッパの多くの国では禁止されています。爪切りと爪とぎポール、そして根気があれば、抜爪をしなくても問題は解決します。
猫の爪切りのまとめ
2週間に一度くらいは猫の爪をチェックし、伸びてきていたら2〜4週間ごとに切りましょう。伸びやすいのは、室内飼いの猫、高齢の猫、多指症の猫です。小さな猫用爪切りを使い、ピンク色の血管から十分に離して、とがった先端だけを切ります。猫が足全体を触らせてくれるようになるまでは、一度に1〜2本ずつ、1本ごとにおやつをあげながら進めましょう。止血パウダーを手元に置き、狼爪も確認し、爪が肉球に食い込んでいたら獣医師に任せましょう。家に迎えたばかりの猫なら、猫を迎える前にそろえたいもののチェックリストで、ほかの必需品も確認できます。








